新型コロナ救済措置のポイント 三和一善

 

アメリカでCovid19 に対する救済措置(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act)が可決されました。当社法人クライアントからの質問が多いため、当社ホームページのクライアントページに今回の措置内容について要点を記載しました。

 

Net operating Lossについて

1. Net Operating Loss80%使用制限規定は2020年末まで停止されます。

2. 2018年1月1日から20201231日までの課税年度に生じる一定のNet Operating Lossについては、最大5年間の繰り戻しが認められることがあります。

 

Employee Retention Tax Creditについて

コロナの影響で、営業ができなくなった場合はもちろんですが、2020年1月1日以降に、前年同四半期の比較で売上高が50%以上減少した企業は、雇用を維持することを条件に賃金のうち50%まで税額控除を受けることができます。(四半期毎に従業員一人当たり$10,000が上限となります)

 

支払利息の控除制限について

支払利息の損金算入規定の計算の対象基準額が、調整後の課税所得の50%が2019年及び2020年において適用されます。2020年は全ての企業に適用される見通しですが2019年はパートナーシップ以外の企業が対象となります。パートナーシップは今回適用される30%ではなく、従来通り30%を使用する必要があります)

 

三和一善

 

Payroll taxの支払について

2020年末までの税額の繰延が認められ、遅れた税額は、50%までを2021年末、 50%を20221231日までに納める必要がある。

 

寄付金の控除について

法人の寄付金控除の上限が従来の課税所得10%から25%に引き上げられます。

 

Paycheck Protection Programについて

過去2年間の資本が$15,000,000未満で、税引後の純利益が$5,000,000未満の企業または、従業員500名未満の中小企業は、従業員の給与の支払いを資金使途とした融資制度です。SBAが指定する銀行から申請をする必要があります。上限を$1,0000,000として、給与の月間平均2.5倍まで融資を受けることができます。なお、給与に関わる経費などは、一定の要件を充足した場合には返済が免除される可能性があります。

 

PPP救済措置の注意点

例えば会社で月間の平均給与が$4,000で従業員が10名の会社があります。この場合、月間給与合計は$40,000なので、借り入れできる金額は$40,000×2.5ヶ月=$100,000になります。保険関係を計算に入れますと、複雑になりますので、ここでは計算に入れていません。

 

1、人件費を削減しなかった場合

会社の売り上げがさほど影響を受けなかったので、人件費を削減しなかったというケース。従業員の人員削減や給与引き下げを行わなかった場合、2.5ヵ月分の人件費だけで$100,000に到達し、借入額がそのまま全額返済免除となります。

 

2、人件費を25%削減した場合

Covid19の影響下で、従業員のレイオフや給与を仮に25%削減した場合、8週間で$75,000($100,000×75%)になります。

給与合計額のみでは$100,000全額の免除には届きませんが、それ以外にも算入できる対象があり、例えば家賃や光熱費、または利息など金利負担が合計で$25,000以上支払いをしている場合、それらを全て給与額合計に加算して免除を受けることができます。

 

3、 人件費を半分に削減した場合

経営が悪化し、従業員の削減に留まらず、給与引き下げによって人件費合計を半分に削減した場合は、8週間で$50,000($100,000×50%)になります。

この場合、免除額$100,000に占める人件費の割合が50%になってしまうので条件を満たさず、家賃や光熱費などを加算することができません。

人件費割合75%以上ということが条件となっていますので、この場合、免除額は$66,667となり、残りの借入額については返済義務が発生しますのでご注意ください。人件費の減額は約25%程度を限度として調整されることをお勧めします。

 

 

詳細については当社提携会計事務所のエクイティタックス・ソリューションズ、または弊社までお問い合わせください。(丸山修・三和一善)

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