米国進出に関するよくある質問 三和一善
私どものクライアントの多くが米国に進出されておられますが、多くのクライアントがいくつかの共通した課題に直面しています。比較的大規模な企業であっても海外進出が失敗に終わる例は数多く存在している中で、なぜこのようなことが起きるのかについて記していきたいと思います。
大きく分けて米国に進出をする際には、注意すべきいくつかのポイントがあります。現地の情報が十分でない点・言語の問題・商習慣の問題となる販売経路ネットワークなどのポイントにおける、米国進出の際の課題とその解決策を2回に分けてご紹介します。
米国の市場の規模や競合相手、および消費者の動向に関する情報不足 三和一善
米国に進出する際の大きな問題としてビジネスを行う上での情報が不足しているという問題が存在します。米国に進出して、とりあえずオフィスを構えて、販売してみてから様子を見るということではリスクが高すぎるため、当然事前にビジネスに関する情報を集める必要があります。これらのマーケットに関する情報は、政府やあらゆる公的および私的機関が出している情報などの定量的なデータと、地元の情報機関などから比較的簡単に手にすることができるターゲットとしている人々の意識や嗜好などがわかる定性的なデータが存在します。このような定量的な市場に関する情報と定性的な嗜好やニーズに関する情報を収集することで、米国内でターゲットとする市場の中が見えてきます。これらを自社のビジネスと照らし合わせてみることで米国進出後のマイルストーンが見えてきます。米国内でビジネスを成功させるために重要なマーケット情報がわからないことには、ビジネスが成功するかどうかを予測することが困難なことは明らかですが、進出してくる日本企業、特に中小企業は、このような情報を十分に持っていないことが少なくありません。ひとつには日本が置かれた環境、国内でのビジネスの商習慣が考えられ、例えば日本は島国であり、特定のビジネスを除いて、言語は、ほぼ日本語のみの使用で問題がないため、海外の市場や消費者との距離が大きく、国外のマーケット状況が把握しずらく、正確な情報を得にくいという問題が考えられます。また、費用的にも、海外に関する調査となると、高額になることが多く、十分な調査ができないままに、進出を決定せざるを得ないというケースも少なくありません。情報不足の状態で海外視察を行ってみたが、あまり国内から取ったデータと変わらなかったということもあります。
資金が潤沢にある企業であればこうした問題はクリアできますが、多くの企業は限られた資金の中で、十分に情報を集められずに海外進出を始めてしますケースもあります。
② コミュニケーションの問題
次に、米国に進出する際に最も一般的な問題として出てくる言葉に関するコミュニケーションの問題があります。ビジネスの際にコミュニケーション面で問題があると、大きな問題に発展しかねません。これは特に日本人に限った問題ではありませんが、日本はやはり他の国に比較してもビジネスレベルで英語が十分に話せる人が少ないため、現地企業へ商談のアポイントを取る際にも現地企業の情報を手にいれる必要がありますし、実際の商談の際には通訳を介することが不可欠です。また、それに付随して発生するのが商品やサービスに関する説明です。商品やサービス説明を違和感なく、魅力的に翻訳することは非常に重要です。特に米国の場合は、自社やサービスの内容を自信を持って、しっかりと説明することを求められますので、口頭で十分に説明できる人材を準備する必要もあります。また広告を検討する場合には、現地のターゲット層の文化や流行などを加味しなければならないために、よりハイレベルとなりますので、やはり米国に限らず、海外でビジネスを展開するためには、そういった問題を共有できるレベルの通訳、翻訳者を準備しておくことが重要です。
③ 販売経路や企業・人とのネットワーク
例えばインターネット上でのビジネスなどは別として、一般的に、米国に進出をしてビジネスを成立させるにはオフィスや店舗、セールスなど何らかの窓口が必要となってきます。特に初めて進出をする際には、会社や商品、サービスの認知度は無い状態から始めることになります。通常は現地の代理店や協業先もない状態のため、これらの構築に相当な時間がとられ、また、それ以外にも情報や言語の問題があるため、こういった環境を構築していくには多大な時間と費用がかかります。現地の企業とのネットワーク構築にも、多くの時間とステップが必要となり、このプロセスを日本企業の担当者が全て行うには、大きなハードルがあります。
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